RE:BORN Directer YUJI SHIMOMURA,Starring TAK,Conbat SupervisorTOSHITAKA INAGAWA

INTERVIEW
インタビュー

—お二人の出会いについて聞かせてください。

TAK∴)「何年か前、『世界に誇れる究極のサムライ映画』をつくりたいと思い、『狂武蔵(くるいむさし)』という自主映画を撮ったことがありました。
77分ワンシーンワンカット、ルールなし、肉体の限界までひたすらに斬りまくる。
自分的にはそれなりの手ごたえはあったんですが、その結果、多くのものを失い、同時に自分自身もまた、アクションというものについて未来を感じられなくなってしまったんです。
日本でどんなに頑張っても受け入れられてはもらえない。誰もついてきてはくれない。この国では映画でアクションにリアルを求めすぎてはいけないんです。
その一方で「本物のサムライに会いたい」という願いも捨てきれずにいた。
しかし、今度こそ、と思って会っても、誰も期待にこたえてくれない。どんなに前評判がよくて期待しても、いざ会ってみると、実は俺の方が強かったりするんです。
自分のイメージの中で探し続けている「本物のサムライ」に会えなくて常にイライラ。
この国には「本物のサムライ」はいないのか、といい加減諦めかけていた矢先でした。

「ひとりだけ、拓さんの求めるモノを持っていそうな人がいる」

そう知人に勧められ、紹介されたのが今回、映画『RE:BORN』の戦術・戦技スーパーバイザーを務め、
出演もご承諾くださった稲川義貴先生だったんです。
一目会った瞬間「ああ、この人は本物だ」ってすぐわかりました。手合わせも何もいりません、ただ目を見るだけで充分です。
会ったその日に意気投合し、口を揃えて言ったのは、
「日本て疲れますよね」でした。
先生もまた、今のこの国のありように息苦しさを感じている人のひとりだったんです」

—稲川先生がこの映画に協力することになったきっかけは?

稲川)「拓さんに初めて会った時のことは今でもよく覚えています。拓さんもおっしゃってましたが、最初にお互い口にしたのは、『この国で生きてるとつらいですよね』でした。私は拓さんとはまったく逆で、戦争ビジネスというものに疲れていました。
剣術家の家系でして反発心もあり海外への武者修行に行き、若い頃から数々の血なまぐさい戦争ビジネスを目の当たりにしてきました。
やがて国内外で戦闘術を後進に教える立場となり、現在は明治神宮至誠館や自衛隊などで指導していますが、なにかとつくづく感じるのは「自分たちのような者」は今、この国で生きていくのが大変だということです。
古来、サムライというものは乱世では活躍できても、平時には需要がない。
しかし、万が一の時のためには志を高く保ち、技は常に磨き続けていなくてはいけない。
そして、いざ必要とされる時がきても、命をかけて何かを守ったからといって誰がほめてくれるわけでもない。
まさに、「見えない戦争」です。
絵空事に聞こえるかもしれませんが、世界には実際にそういう現代のサムライというか、今の時代に生きる武士(モノノフ)が多く存在するんです。
海外の武者修行で学んだのは世界の戦闘員たちが口をそろえ、
「最高の戦士は日本のサムライだ」という事でした。
拓さんと話をしていて、ああこの人は映画という媒体を使い、そういう武士の姿を描こうとしているんだな、と強く感じました。これまで人前に出なかった私が、拓さんに教えを乞われ、今回の映画に協力することを承諾したのはそのためです。」

—トレーニングの内容を教えてください。

稲川)「拓さんにまずやっていただいたのは、これまでの鍛錬で身につけたものを一度全部捨て去ってもらうことでした。戦闘術に必要なものはジムやスポーツでつけた固い筋肉ではなく、実戦で長期間戦える柔らかい筋肉が大切だからです。
最初の半年間はひたすら肩甲骨をまわすことと肚まわりの胆力の集中だけをやってもらいました。それ以外は何も教えません。聞けば拓さんは実際、日に一万回は肩甲骨だけをひたすらまわし腹式呼吸を続けたそうです。
戦闘に役立つ筋肉、いわゆる身体操作に使うインナーマッスルコントロールには肩甲骨を自由自在に動かすことが必須です。ここを柔らかくして初めて、後述する「ウェイヴパンチ」をはじめとする技をたたき込むことができるのです。
とにかく柔らかくすること、それだけです。逆に、それさえきちんとできてしまえば、結果はあとからついてきます。あとは柔らかさを維持しその状態で殴れば人は飛ぶし、ナイフを持てば無敵です。いったん身体さえつくってしまえば、あとは技を吸収するだけです」

文:佐伯紅緒

(以下、後半に続く)